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知ったからには、知らないふりはしない。

 

サマーウォーズは「親戚」の映画?

 

()みそら-命つながる家系図- スタッフです。

 

もうすぐお盆。

 

普段は仕事や学業等に追われて難しいけれど、お盆だけは故郷に帰るという方も多いのではないでしょうか?私もその一人です。

そんな私は、お盆が近づいてくると無性に見返したくなる映画があります。

それは、細田守監督による劇場公開アニメーション作品『サマーウォーズ』(2009年)です。

 

映画「サマーウォーズ」公式サイト

 

舞台は長野県の上田市。由緒ある陣内家の当主・栄おばあちゃんのもとに集まった26人の親族+主人公たちが、あることをきっかけに起きた世界の危機に立ち向かっていく物語です。

登場人物の9割が「陣内家」の人たちという大所帯ぶり!

ある媒体のインタビューで、監督の細田守さんはサマーウォーズを「親戚の映画にしたかった」と語っています。

家族の映画は世の中に溢れていますが、親戚の映画(しかもアニメーション)というのは、ありそうでなかったですよね。

 

私がお盆前にこの映画を思い出すのは、自分が子供の頃、やはり陣内家の人々のように親の生家に親戚一同で集まった記憶が鮮明に残っているからなのでしょう。

 

実を言えば、私はこの「親戚一同が集まるお盆」というものに苦手意識がありました。

そして、今も完全に克服は出来ていません…。

ですが、あることをきっかけにその意識に大きな変化が生じます。

今回は、「お盆」と「親戚」をテーマに、少しだけ私のお話をしたいと思います。

 

 

 

 

 

お盆は親戚たちとの仮想空間だった

 

先に触れたように、子供時代の私にとって、親戚一同が集まるお盆は少々憂鬱な期間でした。

 

形も高さも異なるテーブルを繋げて、ぎゅうぎゅう詰めで食べる昼食。

なぜか一向に台所から出てこない女性たち。

かたや、暇そうに高校野球を見ているか、知らぬ間に酔っぱらっている男性たち。

年に一度しか会わない気まずさを紛らわすべく、ちょっとぬるいスイカを静かに頬張る子供たち…。

 

色々な家の人間が集まると、話したことがない人がいたり、何人か知らない人がいたりしました。

 

「この人、誰だろう」

「この人、いつも話しかけてくれるけど名前なんだっけ」

 

同じ家に住む家族、同じ学校や習い事に通う友人のようにはいかない「親戚」という存在。

自分たちを繋ぐのはあくまでも「家系」であり、家族や友人以上に「関係性」を意識しなければならない。

子供時代の私にはなかなかにハードモードな存在でした。

さながら、普段とは違う余所行き仕様のアバターで、〇〇家の〇男の〇番目の子として親戚たちの輪の中にログインするような感覚。

私にとって親戚と過ごすお盆とは、自分であって自分ではない身体で過ごす仮想空間でした。

 

戸籍で過去のパズルのピースがはまった瞬間

 

その後、大人になった私は、祖父の死をきっかけに自分のルーツを辿るために戸籍を集めるようになります。

(詳しくは今こそ、戸籍調査をする理由。 - 命つながる家系図にて)

父方、母方どちらの戸籍も少しずつ集めていく中で、私は親戚のある人物の欄の違和感に気が付きました。

その人は、お盆の集まりでのみ会える人で、他の親戚たちとはあまり話さず、毎年一人静かに墓参りに向かう後ろ姿が印象的でした。

大人に構ってもらえずつまらなさそうにしてる私を含む子供たちを、何度か海に連れて行ってくれたりもしました。

親戚たちの中での「関係性」がよく分からないままだったその人は、ある事情で別の家系のように見せていたけれど、実は自分と深い縁があった人だと戸籍から分かります。

優しくて面白いのにどこか掴みどころがなかったその人が、自分の中で、ふっと立体的になった瞬間でした。

その人はもう亡くなっているのですが、もう少し紐解きたくなった私は、集めた戸籍をもとに、見よう見まねで家系図のようなものをルーズリーフに書いてみたのです。

 

見よう見まねで書いた家系図から得たもの

 

当時の私は家系図の記入方法が分からず、旧字体も読めないために字は滅茶苦茶で、記号や配置もまるでバラバラだったものの、試行錯誤の末、なんとか読み取れるレベルの家系図が出来ました。

 

小さな満足感と、大きな達成感に包まれました。

書いて良かった。心からそう感じました。

 

誰かに見せるためでもなく書いた家系図(のようなもの)。

先日、ようやく家族の一人にだけそれを見せると、嬉しそうに知らない昔の話をたくさんしてくれました。

その家族にとっても、その人は特別な存在だったようです。

 

「知らないふりもできただろうに、ありがとう」

 

この言葉を受け取った私は、こう感じました。

 

知ったからには、知らないふりをしないこと。

 

たったそれだけのことで救われる人がいる。

たったそれだけでも報われる人がいるのだと。

 

明日は89日。長崎原爆の日。

忘れてはいけないこの日から繋がる、今年のお盆。

「親戚」という不思議な縁で繋がった人たちと過ごす時間。

 

それは当たり前のようで、決して当たり前ではない貴重な時間なのだと、今なら思えます。

 

私は今年もきっとサマーウォーズを見るでしょう。

  

皆さまも、よいお盆休みをお過ごしください。

 

#お盆 #サマーウォーズ #家系図