家系図作りの第一歩

 

 

「家系図作りに興味はあるけど、代行サービスは高い…」

「できることなら自分の力でルーツを辿ってみたい!」

 

漠然とこういった思いを持っているけど何から始めたらいいのか分からない…そんな方は多いのではないでしょうか。

 

家系図作りやルーツ調査についてインターネットやSNSで調べてみると、おそらく例外なく「まずは戸籍を集める」といったワードが飛び込んでくると思います。

 

「戸籍ってよく耳にはするけど、結局何?」

「戸籍なんて自分で取ったことがないから分からない」

「市役所に行って取ろうとしたけど、申請書に書くことが分からず、面倒くさくなってそれっきりになった」

 

等々、一口に「戸籍」と言われても、その実態はよく分からないという方は非常に多いです。

それもそのはず。専門職でもない限り、生活をする中で「戸籍」に触れる機会はほぼ無いに等しいのです。

 

そもそも「戸籍」とは何でしょうか?

以下は、法務省ホームページからの引用です。

 

法務省:戸籍

“戸籍は、人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもので、日本国民について編製され、日本国籍をも公証する唯一の制度です。”

 

もう少し噛み砕いてみると、戸籍とは、人が生まれてから亡くなるまでの全ての親族関係を証明する、日本国籍を持つ人だけの制度だということです。全ての親族関係とは、簡易的な表現ではありますが、親が誰で、兄弟(姉妹)が誰で、配偶者が誰で、子が誰で…といった対象者から見た親族との「関係性」を証明するということです。

 

例えば有名な「サザエさん一家」なら、サザエさんの父は波平さん、母はフネさん、弟(長男)がカツオくん、妹(二女)がワカメちゃん、配偶者はマスオさん、子(長男)がタラちゃん…といった具合です。

 

なんとなくですが、戸籍が家系図作りやルーツ調査に必要不可欠なものであることは分かってきました。なんとなく…。

とはいえ、戸籍を集めるって、つまり何からどうすればいいの?と感じてしまいますよね。

 

今回は、戸籍を集めるにあたり、まず何から始めたら良いかを考えてみます。

家系図を自分で作る、自分のルーツを辿る第一歩は、自分の「現在戸籍」を取得することから!

 

まず、前提としてお伝えしたいのは、家系図製作を専門とする私たちスタッフでも、家系図作りやルーツ調査に必要な戸籍を全て集めることは非常に複雑で難しく、慣れが必要な作業であると日々感じていることです。

 

戸籍は法律の改正、婚姻等の理由による戸籍からの除籍、新戸籍への入籍等によって、その都度内容が切り替わっていくものであり、家系の親族関係が1通・1冊に集約・網羅されていくものではありません。つまり、家系を遡る(ルーツを辿る)には何通、何十通も集めていく必要があり、それが作業を難しくする一つの要因かと思います。

 

いきなり自分から遡れる限り最古の先祖まで繋がる戸籍を全て取得しようとすると、なかなか腰の折れる作業です。

戸籍の請求には請求者(あなた)のご本人確認はもちろん、請求対象者の「名前」「本籍地」「筆頭者」の記入が必ず必要です。(役所の人はこの情報から検索するためです。市区町村によっては生年月日も必須)そして、これらの情報は一字一句も間違っていないことで初めて請求が可能になります。

 

また、請求(あなた)は、請求対象者(先祖または子孫)直系の親族でないと請求できません。

直系とは、父・母(養父・養母も)祖父・祖母(これより過去の祖父・祖母も)自分の配偶者自分の子供等のことです。

自分の兄弟(姉妹)伯父・伯母(叔父・叔母)などは直系にあたらず、相続等の特別な理由がない限りは取得できません。

 

再びサザエさんで例えると、請求者であるサザエさんは波平さん(父)、フネさん(母)、マスオさん(配偶者)、タラちゃん(子供)の戸籍は取得できますが、カツオくん(弟)、ワカメちゃん(妹)の戸籍は基本的には取得できません。また、マスオさんの父・母(サザエさんから見れば義理の父・義理の母)の戸籍についても、養子縁組をしていない限り、サザエさんには取得できません。

 

これだけでも、戸籍とは請求に際しての規定が非常に多く、いかに高度な個人情報を扱っているものであるか分かりますね。

 

以上のことを踏まえた上で、私たちが家系図作りやルーツ調査の第一歩としておすすめしているのが「まず自分の現在戸籍を取得する」ことです。

 

自分の現在ではなく過去を遡りたいのだけど…そう感じた方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、当たり前ながら、自分の戸籍には自分の戸籍情報が載っています。つまり、本籍地・筆頭者のほか、自分の父・母の名前とその続柄(長男、長女等と表記されています)、結婚して親の戸籍を除籍している方であれば、それまで自分が入籍していた親の本籍地(従前戸籍といいます)も同時に載っているのです。

 

つまり、自分の現在戸籍さえあれば

 

・遡りたい家系の本籍地

・自分が先祖たちと直系の親族であること

 

の証明になるのです。 

 

自分の現在戸籍を取得する方法は大きく三つあります。

  

①役所の窓口で直接請求する

②郵送で請求する

③マイナンバーカードを使ってマルチコピー機でプリントする

 

①について、以前は戸籍は自分の本籍地のある市区町村でしか取得できなかったのですが、令和6年3月より全国広域申請のサービスがスタートし、本籍地外の役所でも申請すれば戸籍の取得が可能になりました。ただし、各役所によって全国広域サービスの規定内容はかなり異なるので、事前にホームページなどで確認することをお勧めします!(全国広域申請は代理人による第三者請求はできません)

 

②の郵送での請求については、全国広域申請サービスは適応されていません。これまで通り、自分の本籍地がある市区町村の役所に申請書等を郵送し、戸籍を返送してもらう方法です。郵便での請求についてはこちらのページでもまとめているので、ぜひご覧ください。家系図を自分で作る方法 - 命つながる家系図

 

③についてはマイナンバーカードをお持ちの方(スマートフォンのマイナンバーカードも可能)に限定されますが、お近くのコンビニのマルチコピー機内のメニューで「行政サービス」を選ぶと、いくつか発行できる証明書の中に「戸籍謄本(全部事項証明書)」があります。

※戸籍証明書のカテゴリに「戸籍の附票」というものもありますが、こちらは住所遍歴を証明するものであり、現在戸籍ではありません。また、このサービスで扱う戸籍は「今も運用している(生きている)」現在戸籍のみ。過去の戸籍である改正原戸籍や、全員が除籍している除籍謄本は取得できません。ご注意ください。

この場合は本籍地・筆頭者の記入は必要ないので、本籍地がどうしても思い出せない…という方には便利です!ただし、市区町村によって利用規定が異なる場合があります。例えば浜松市の場合は、浜松市内にお住まいで、本籍地も浜松市の方が利用できるサービスとなっているようです。証明書コンビニ交付サービス(戸籍・住民票・印鑑登録)/浜松市

 

 

家系図作りの第一歩として、まずは自分の戸籍を取得する。

遠回りのようで、実は一番大切な手順です。

 

家系図作りをお考えの方は、ぜひその一歩を踏み出してみてください。